「0円スマホの裏側|売り手が有利になる契約の仕組みとは?」
前回の記事では、
固定費でかかる通信費を見直すために、
スマホ通信費を3つに分類しました。
今回は、その中でも
通信費を安くしたい人が、絶対に選んではいけない選択肢について書きます。
それが、通称「1円スマホ」です。
結論から言います。
1円スマホは、売り手に有利になるよう仕組みが作られており、私は選びません。
通信費を下げたいと思っている人ほど、
この選択肢を取った瞬間に、目的から遠ざかります。
なぜそう言い切れるのか。
この記事では、1円スマホの契約の仕組みを分解し、その理由を説明します。
1円スマホのメリットに“見える”点
高額なスマホが、安く手に入る”ように見える”
スマホは年々ハイスペック化していっていて、
本体価格も比例して大きく値上がりしています。
昔のガラケー時代なら、1台3~4万円などでも携帯を買えましたが、
現在のスマホは10万円越えが当たり前になっています。
本来10万円以上するスマホが、1円で手に入るという触れ込みです。
パッと見は、確かにお得に見えます。
最新機種でも、分割払いなら意外と差がない”ように見える”
最新機種は、当然端末価格も高いです。
分割払い+後払いという見せ方により、最新でない機種との
金額差が小さく見えます。
例えば、
「月々1,000円だけ足せば、最新の高性能スマホが手に入る!」
ともなれば、心が動く人もいるでしょう。
1円スマホのデメリット
10万円越えのスマホが、なぜ1円で手に入るのか?
肝心のデメリットを見ていきましょう。
端的に言うと
「売り手に有利な囲い込みによって、トータルで回収されるから」です。
スマホ端末そのものが高くなる
具体例として、
日本で約60%のシェアを占める iPhone を見てみます。
Apple公式ストアと某携帯ショップで、
同じiPhoneの販売価格を比較してみます。
iPhone 16e の場合(iPhoneの中ではもっと安い機種)
- Apple公式:99,800円
- 携帯ショップ:118,910円
差額:19,110円
iPhone 17 Pro の場合(最新モデル)
- Apple公式:179,800円
- 携帯ショップ:214,940円
差額:35,140円
この時点で、
同じ端末を買っているのに、入口ですでにこれだけ差がついていることが分かります。
補足しておきますが、買う場所が変わっても性能は全く同じです。
高額モデルほど、上乗せ額が大きくなる
性能は同じなのに、
- iPhone 16e:上乗せ 約1.9万円
- iPhone 17 Pro:上乗せ 約3.5万円
割合で見ると、
端末代のおよそ19%が上乗せされています。
端末代が高いほど、割合に応じて金額は上がりますから、
高い端末ほど利益率が高い=消費者側が高くつく
仕組みとなっていることが分かります。
分割払い+後払いで、安く見せている
スマホショップで最も推されている販売形式は、次の仕組みです。
- 1〜23か月目:端末代の一部だけを分割で払う(毎月は安く見える)
- 24か月目:残り(残価)がまとめて発生する(ここが本体)
- ただし「端末返却」を条件に、②の支払いを免除する(返却する前提)
会社によって呼び方は違いますが、名前が違うだけで中身は同じです。
この仕組みによって、次のようなことを誘導されています。
24か月後に残価が来る(高額)
→ 支払いを避けるために「返却+次の契約」を勧められる
→ 次の24か月の縛りへ誘導される
最初の2年間は安く見える
→ 契約のハードルが下がる
→ 本来なら高くて売りにくい機種が売りやすくなる
24か月は実質的に拘束される
→ 他社へ流出されにくい
→ もっと安いサービスへの乗り換えを防げる
スマホの料金は、基本的に高い
大手キャリアの料金は、
そもそも基本料金が高く設定されています。
目安は次の通りです。
- 大手キャリア:7,000〜9,000円
- 格安SIM:1,000〜2,000円
金額を抑えようと思えば、
他にも選択肢は十分にあります。
それでも大手キャリアが成り立つのは、
契約を続けてもらえれば、それだけで利益が出るからです。
端末を使った「縛り」による囲い込み
大手キャリアの通信料は基本的に割高です。
それにもかかわらず顧客が離れにくいのは、
前述の「端末の分割払い+後払い」
という仕組みが一因です。
通信費を見直そうとすると、
- 端末の残債が気になる
- 今やめると、後回しにした残債が一気に請求される
- 結果、契約を続けてしまう
この状態が発生します。
かつての「2年縛り」と、現在の「端末の分割払い+後払い」
2000年代初頭、
携帯電話は「2年縛り」が当たり前でした。
- 決められた期間内の解約は違約金
- 更新月を逃すと他社への切り替えは難易度が高い
この仕組みで、他社への流出は抑えられていました。
しかし、
2019年に総務省が法改正を行い、
実質的な「2年縛りの解約金や不透明な縛り」を禁止にしようとしました。
これによって、かつての2年縛りはなくなりましたが、
新たな顧客囲い込みのための縛りが、”端末の分割払い+後払い”というわけです。
このやり方は違法でも詐欺でもないし、
全くの合法です。
商売としては理解できますが、
高い料金プランで顧客を留め続ける仕組みに乗ってしまえば、
支払い負担が増えるのは、当然ながら消費者側です。
通信費を下げたい人にとって、
1円スマホは「安くするための選択肢」ではありません。
高い固定費を長く払い続けるための仕組みです。